10年ほど前に讃岐うどんと出会ってからというものその美味しさを何人もの友人達に伝道してきたのだが、実は本来、うどんより蕎麦派なのである。
讃岐うどんブームも定着して、その上手さも一般の知るところとなった訳だし、香川には自分の行きつけの店や、近所にははなまるうどんもある。そんな訳で、そろそろ蕎麦に行ってみても良いんじゃないかと思っている。
きっかけは去年の9月ちょうど一年くらい前、
渋谷の「匠」という新潟へぎそばを食べさせる店に行った辺りくらいからか。そのへぎそば(つなぎにふのりを使う独特の蕎麦)がちょうど良い感じに美味くて、それ以来、喉の奥の方から「あ〜美味い蕎麦が喰いたい。」という身体からのノックが頻繁に為されるようになったのだ。
しかし、関西はうどん王国。普通に蕎麦屋に入っても、なかなか美味しい店には当たらないのだ。では調べて行けば良いとなるが、元来ものぐさな人間であるからして、特に調べもせず、時間だけが過ぎて行き、それでも「あ〜蕎麦喰いたい。」という渇きだけは消えないで喉の奥にこびりついたままなのだった。
夏前に三重の湯の山温泉に泊まりに行った時に、近くに
蕎麦打ち道場があって、蕎麦打ち体験をやっていたので、参加してみた。とはいえその時は連れに打つのをまかせて撮影のみだったのだが、蕎麦打ちの先生が手伝ってくれつつの蕎麦打ちはなかなか楽しかったと同時に、この時、打ったものをその場で湯がいてくれた蕎麦が、抜群に美味かった。麺つゆもこだわっているとかで確かに美味い。もうこれで完全にスイッチオン。

で、今年の猛暑である。
近所で冷たくて美味しいモノといえば、もうはなまるうどんしかない訳で、兎に角飽きるくらい何回も食べに行った。で、流石に飽きて、もうこれは蕎麦喰うしかない!となっていたところに本屋で見かけた『自遊人』というおっさん向けの雑誌の蕎麦特集。
そんな訳で蕎麦屋巡りの旅をスタートした訳である。
9月の頭に琵琶湖で野外パーティのブッキングがあったので、関西では比較的蕎麦の美味しい店が多いという京都の店を調べて、滋賀との県境、山科にある「春秋山荘高月」にお昼のコース3,600円を食べに行った。

かなり期待して行ったが、コースの料理は趣向こそ凝らされているが、味は普通の旅館レベル。移築された古民家と竹林の中に立つロケーションは雰囲気があったが、まあそれも圧倒されるようなレベルではなかった。で、肝心の蕎麦も不味くはないんだが、山科までわざわざ足を伸ばして食べる程のものでもなく有る意味凡庸。小さい鮎の入ったダシも、味はコンビニのざるそばのダシと大差がなく残念。
まあ、決して不味くはないし、雰囲気もあるし、ちょっとしたデートなんかには良いかもしれない。でもまあ、それだけと言う感じ。
で、今週の月曜日。前日に浜松でDJをした後、直接淡路島に戻る体力は流石になかったので、名古屋で昼過ぎまで休んだ帰り、例の雑誌のオマケで付いていた蕎麦ガイドブックに載っていた「春風荘」が近くにあったので、午後3時過ぎ、誰もお客さんがいない状態のこの店に、蕎麦を食べに行ってみた。
煙草を吸うと言ったら、奥の座敷に通され、メニューをざっと眺める。名古屋では古くからの名店らしく、それなりの値段が付いていて、気軽にこれとこれなんて感じではお昼にはちょっと厳しいかも等と思いつつ、せいろは600円とリーズナブルだったので、連れはせいろ600円とデザートにそば団子500円を、俺はちょっとリッチに暖かいダシで食べる天せいろ1,600円をオーダーした。

で、ここの蕎麦はなかなか美味かった。イカ・エビ・シシトウ等を食べやすい大きさにしたてんぷらも良かったけど、ダシがてんぷら用に温かいので、そこは失敗したかも。連れの冷たいダシで食べさせてもらった方が断然美味かった。薬味にはその場で擦る生のワサビ、大根おろし、七味唐辛子(一味だったかも)。で、〆のそば湯は、サイドに蕎麦粉を水で溶いたどろっとした容器が置かれ、濃い味のそば湯が楽しみたい場合はこれを加える様になっていた。あと連れが注文したそば団子もウグイスきな粉がかかったゆで立てのふわふわで甘さ控えめの上品な味で美味しかった。しいて言えば、せいろの量が少なめだったので個人的にはもう少しがっつり食べたいが、2枚にすると一気に1,200円と高くなるのが珠に疵かな。まあ良い店は普通にせいろで1,200円くらいするところもあるし、そういう意味ではお得といえばお得なのかもしれない。
と言う訳で、蕎麦巡りの旅はまだまだ続く。これぞ!という自分のフェイバリット蕎麦を求めて。